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運動部活動2

 中学や高校の部活動時間の制限問題については、その問題の本質が教員の過重な労働時間の解決のためであることは確かなのですが、表面的には生徒側の問題解決策に置き換わってしまっているように思われてなりません。

このような捉え方をしてしまうと、教育界が今までずっと続けてきた部活動というものに対して、自己否定することになってしまうのではないでしょうか。もし、過去の活動を否定するならば、今後の学校における部活動の廃止まで考える必要があるでしょう。

 教員が部活動に関わる時間を軽減することは、多少の負担軽減にはなるでしょうが、教員の労働時間が増えた原因は、必ずしも部活動だけの問題ではありません。

外部からはなかなか見えにくい、部活動以外の雑多な業務が、異常なほどに増加していることもその要因にあります。そうした面には踏み込まず、部活動時間の軽減だけでは、単に問題解決のためのスタート点に立ったに過ぎないように思われます。

逆に、部活動時間の制限によって、ゆとりの出た時間に、そうした雑多な業務が、さらに押し込まれる危険もあります。

ですから、問題解決のための部分的な対策にはなるとは思いますが、今回の方針が抜本的な解決のための方針であるとは思われません。さらに、部活動以外の問題点をも含めた対策が必要なのではないでしょうか。

 中、高を対象にした今回の方針は、中学と高校の教員の持ち時間数や教員数など、もう少し現場の実態の確認や工夫も必要に思われます。

中学などの部活動顧問の活動中の張り付きなどは、かなり厳しく守られているようですが、高校などにおいては、部活動に熱心な教員は別にして、まだまだ以前のように生徒まかせの活動であったり、かなりゆとりある教員の姿が目立つというのが実態です。

 さて、話は戻りますが、時間制限された生徒たちの対応はどうでしょうか。無理やりに活動を強いられてきたような生徒にとっては、あり難い状況だと思いますが、より向上を目指す生徒や保護者たちにとっては、不本意であるかもしれません。

おそらく、そうした生徒や保護者たちは、不足分を埋めるために、それを外部に求めることになると思われます。

営利団体のクラブや非営利団体のクラブなどにその場を求めることになるでしょう。

しかし、そのための経費の問題や万が一の障害に対する問題、送迎の問題など、学校内での活動では無かった問題も発生することでしょう。地元に受け入れクラブや団体があればいいのですが、そうした受け皿がない可能性もあります。

 一つの方向付けは、部分的な問題解決にはなるでしょうが、そのことによって、新たな問題が発生することも確かです。問題の解決のための方策が新たな問題を生み出すことにならないことを願うばかりです。