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タンポポ

 新学期が始まりました。

二、三日前のことですが、自宅の前を通り過ぎた小学生二人が、20〜30メートルほど過ぎたあたりで、その一人の方が突然泣き出しました。

何が原因なのか、遠目にはわかりません。そのうち泣きやめるだろうと高を括って見ていましたが、なかなか泣きやみませんでしたから、仕方なく近ずいて見ることにしました。しかし、近ずいて、さらに激しく泣いたりでもしたら、傍目には変なおじさんが、子供を泣かしていると思われるのも嫌ですから、恐る恐る近ずいたのですが、やはりなかなか泣き止みそうにありませんでした。その子たちは、身体つきや顔もそっくりで、どうやら双子の姉妹のようでした。

とにかく、泣いている子にその訳を聞いて見たところ、道端のタンポポを指差し、タンポポが怖いというのです。「それでは、おじさんがタンポポを退治しよう」とタンポポの茎を折り捨てたら、ピタリとその子は泣き止みました。

泣きやんだ後、理由を聞いたら、タンポポが嫌いで、そのタンポポが道端にあったので、それで恐くて泣いたというのです。

 大人たちは、一笑に伏してしまうようなそんな出来事なのですが、ここに至るまでには、その子とタンポポの関わりについては何かしらの大きな要因があったはずです。

余計なことかもしれませんが。この子の学校生活の様子も垣間見たいものです。